教員紹介

Profile

呉 宣児
教授
呉 宣児
OH Sunah
国際コース教授。九州大学大学院人間環境学研究科博士課程修了。博士(人間環境学)。学術振興会外国人特別研究員、九州大学大学院人間環境学研究院助手をへて、2004年本学に着任、2011年から現職。日本・韓国・中国・ベトナムの研究者たちと10年以上交流しつつ研究・教育。主な著書:『語りからみる原風景:心理学からのアプローチ』萌文社 2001(単著)。人間環境学会で奨励賞(単著論文)受賞2005、日本地域学会で著作賞(共著)受賞 2018。

学生へメッセージ

韓国済州道で生まれ育ち、韓国の大学では日語日文学科で勉強しました。1992年来日して、お茶の水女子大学大学院で主に発達心理学、九州大学大学院では主に環境心理学領域の勉強をし、その後日韓中越の研究者たちと共同研究をしながら文化発達心理学、比較文化心理学の領域へも行き来しながら研究活動・教育活動をしてきました。
研究は主に3つの文脈で行っています。一つ目は、「原風景」をキーワードとしながら、語り合いを通して個々人の心理にアプローチし、場所への愛着や自分のアイデンティティの関連を捉えたり、地域住民が共有する原風景にアプローチし地域づくりの発想へつなげたりしてきました(環境心理学の分野)。二つ目は、日韓中越の研究者たちと各国を一緒に回りながら、それぞれの国での子どもたちのお小遣いのもらい方や使い方を通して友達関係や親子関係、消費生活の構造などを探り子どもたちの生活世界の比較をして来ました(発達心理学・文化心理学の分野)。三つ目は、個人間・集団間で対話をしながら異文化理解をしていくための教育方法を開発するために日韓の大学生交流に長年取り組んできました(教育心理学、文化心理学の分野)。
私自身が住んでいる現場(いま・ここの地)で、多様な人々が共に暮らす「多文化共生」についても考え続けています。外国人として日本に長く住んでいる経験も参照しながら、前橋で、群馬で、日本で、多文化共生を実現していくことに関して学内外の方たちとも関わりながら考え続け実践方法を模索しています。
地域と関連する仕事としては、前橋市地域づくり推進会のアドバイザーを務め、前橋市・市民のパートナシップ事業の審査委員として長年かかわってきました。私自身外国人ではあるけれども前橋市民でもあるという意識をもって、小学校で読み聞かせボランティアをしたり、地域のカトリック教会で日本人や外国人たちと一緒に交わったりしながら生活しています。

研究内容について

私の専門領域のベースは心理学です。心理学は主に、個人に目を向けてきた歴史があります。しかし、「人間」ということばの「間」はすでに個人ではなく「人々」「人と人の間」を前提にされていますね。私は、個人だけ見ては十分に見ることができないという反省からできた「環境心理学・文化心理学」の領域で「発達心理学」とつなげて考えてきました。人は個人の内的な特性だけで考えたり行動したりするのではなく、おかれた環境・状況によって考え方や行動の様式に違いが出てくるので、人々を見たり、問題を把握し解決策を考えたりするときにも、「人」と「環境・状況」をセットとしてとらえようとする領域です。
いままで小・中・高では、「学習する」や「勉強する」という言葉をよく聞き使っていたと思います。さらに、大学では「研究する」ということも含みます。勉強は、主にインプット作業をしながらほかの人が作っておいた知識を使う・消費することだとイメージするなら、研究は、自分でオリジナルな知識を作り出し学問の領域の蓄積にさらに新しい知見を加えることと言えます。自分で疑問・問題を見つけだして、自分で問題にアプローチするための方法を決めて、具体的に物・事に取り組みながら新しい知見を生み出すことが研究ですので、研究はとてもクリエイティブな作業であると思います。
図書館で本や論文を見つけ読むことは当然すべきことですが、地域やさらには海外にも出かけて、自分の足で歩きながら観察したり、人々に直接話を聞いたりすることも必要になりますね。
特に大学での学びの形は、教員が学生へ一方的に教えるというよりは(もちろん、その部分も少しは必要ですが)、一緒に考え一緒に探りつつ教員も学生も互いに学び合う中で、学生一人一人が自分のオリジナルな研究作品を作り出すことにたどり着くことだと思います。毎年学生たちからどのようなアイディア出て、どのような結果物が出るのかが楽しみです。

担当科目

東アジア比較文化論 環境と心理 海外フィールドワーク(韓国) 国際関係の歴史を知る 教育と心理「教育心理学」 世界のフィールドワーク入門 フィールドワークの方法 I・II Glocal Seminar I・II 基礎演習 I・II 課題演習 I・II 卒業研究

所属する機構/コースの教員一覧

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